netenaide

筋力弱くたどたどしく何もわかってない

予言の両面『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン 』S1E8

 ドラゴンストーンの巨岩の隙間でデイモンがレイニラのドラゴン、シアラックスの卵を3つ手に入れて喜んでいる。この世界では名前と血筋、それに加えてドラゴンの有無も重要らしい。ドラマ内から得た知識によれば、ターガリエンの血筋の子どもは誕生時にドラゴンの卵を一つ与えられる。その卵が孵化する確率は二分の一。しかし自分のドラゴンが得られなかった子も、後から先祖のドラゴンを譲り受ける可能性がある。ターガリエンの子ども達はみな自分のドラゴンを持つことを熱望している。

 ドラゴン関係については名前を覚える自信がなくて適当に流して観ていたが、そろそろちゃんと把握しなければと整理してみた。

シアラックス(Syrax)/レイニラのドラゴン

ラクセス(Caraxes)/デイモンのドラゴン

ドリームファイア/レイニラが弟ベイロン(早世)のために選んだ卵

(故)バレリオン(Balerion)/かつてヴィセーリスが乗っていたドラゴン。別名「黒い恐怖」

シースモーク(Seasmoke)/レーナー・ヴェラリオン(失踪中)のドラゴン

◯◯/アリセントの長男エイゴンのドラゴン

ヴァーガー(Vhagar)/レーナ・ヴェラリオンのドラゴン。後にアリセントの次男エイモンドのものになる

◯◯/デイモンとレーナの長女ベイラ・ターガリエンのドラゴン

孵らない卵/デイモンとレーナの次女レイナ・ターガリエンの卵

ヴァーマックス(Vermax)/レイニラの長男ジャセアリーズ・ヴェラリオンのドラゴン

◯◯/レイニラの次男ルケアリーズ・ヴェラリオンのドラゴン

 確認のために見返していたら、ドラゴンがいない自分は父デイモンに無視されていると幼いレイナが悩んでいるシーンがあった。自分の卵も孵らなかったけれど、15歳の時に世界最大のドラゴン、ヴァーガーを得たのだと母レーナは慰め、「欲しかったら自分でつかみ取るのだ」と伝える。そしてレーナの死後、ヴァーガーは同じく卵が孵らなかったアリセントの次男エイモンドに奪われてしまう。

 コアリーズ公夫妻がヴィセーリスの後妻にとレーナを連れてきた時、彼女はまだほんの子どもで、お見合いの場ではドラゴンの事ばかりヴィセーリスに尋ねていた。自分のドラゴン、バレリオンはもういないこと、伝説の大ドラゴン、ヴァーガーはナローシーの向こうにいるらしいことをヴィセーリスは教える。その頃のヴィセーリスにとっての興味は、ドラゴンではなく約束された王子の夢の方にあったのだろう。彼は幼いレーナではなく歴史の話が出来るアリセントと再婚する。

 レーナがヴァーガーを得たのが15歳ということは、兄レーナーとレイニラの結婚式でデイモンと出会う前後くらいの頃だろうか。大き過ぎて王都の竜舎には収まらず、海の向こうではぐれていたドラゴンをレーナは見つけ出したらしい。そして彼女の死後、ドラゴンを持っていない事を兄や甥にからかわれていたエイモンドをヴァーガーは受け入れる。ドラゴンの所有権を巡って三家の子ども達は大乱闘となり、エイモンドは片目を失うもののヴァーガーの持ち主となることを認められる。それは兄弟のように育てられてきたターガリエンとヴェラリオンの子ども達にとっての幼年期の終わりも意味していた。

 8話ではレーナの葬儀とヴァーガーの移譲から6年以上が経過している。踏み石諸島での海戦でコアリーズ公が瀕死の大怪我を負い、その弟ヴェイモントがレイニラの次男ルケアリーズの相続権について異を唱えたために、王の裁定を求めて一族が集う。レイニラの黒髪の息子達は久々の王都を懐かしむが、人々の視線には戸惑う。そして隻眼のエイモンドはサー・クリストンに鍛え上げられて屈強な戦士へと成長しており、もう虐められていた頃の面影はない。

 裁定は衰弱した王に代わって王妃のアリセントが下す。レイニラの息子の継承権を認めるかどうかは、鉄の玉座を巡る彼女の長男エイゴンの継承権にも影響する。そのエイゴンは妹ヘレイナと結婚していながら侍女のレイプ事件を起こすろくでもない男になっていて、いざとなるとアリセントには迷いが生じる。レイニラは薬で朦朧としているヴィセーリスの元を訪れ、王と王位継承者だけが知る使命についての苦悩を語り、その導きを乞う。

 オットー・ハイタワーが裁定の場を仕切ろうとする中、渾身の力を振り絞ったヴィセーリスが現れ、ドリフトマークの相続についてはレイニスが知っていると言い渡す。レイニスは相続するのはルケアリーズであり、レイニラの息子達とレーナの娘達を結婚させることを発表する。納得がいかず「落とし子」と口にしたヴェイモントをデイモンは即座に切り捨てる。

 ヴィセーリスの登場シーンは、死神もかくやと思わせる迫力で、最後の務めを果たそうとする老王の執念には込み上げるものがあった。その彼の裁定は「レイニスに任せる」。そんなにまでして出てきたのに何で自分で決めないのと思ってしまうが、これこそが彼が象徴してきたターガリエンの王のあり方なのだ。(ちなみに戴冠せざりし女王レイニスの回答も「夫の言う通り」ルケアリーズを相続人とし、「レイニラから申し出のあった通り」両家の子供たちを結婚させる、というものである。)

 なんとか一族を団結させたいとヴィセーリスが設けた晩餐の席で、それぞれ人生のままならなさも経験してきた娘と娘のような妻は、王の思いに触れ、お互いを認め合って和解する。レイニラはアリセントの功績を讃え、アリセントはレイニラが女王となることに賛成する。しかし、若い世代同士はそうもいかず、王の退席後には諍いが起きてしまう。

 レイニラが息子達を連れ帰った後に再び意識が混濁したヴィセーリスは「(約束された王子)エイゴンの予言は真実だ」とレイニラと混同してアリセントに口走ってしまう。ヴィセーリスが生涯を懸けてその意味を問い続けてきた「約束された王子」の予言は、レイニラに対しては「唯一の後継者として、やがて来る脅威に対して王土をまとめろ」、アリセントに対しては「王位を継ぐのは約束された王子である、お前が成し遂げろ」と分割されて伝わってしまったことになる。ドラゴンから降りてなんとか平和な時代を生き切った王の、これが真にターガリエンらしい最期でもあるのだろう。レイニラもアリセントも、自分が王から受け取った言葉こそが真実だと信じて突き進むことになる・・・よねぇ。

 

 

キャストがただワチャワチャしてるのを観たくなる・・・その2