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チューリップ畑のタワシ

2025参院選八王子開票区おぼえがき

第27回参議院議員通常選挙2025,告示7/3,投票日7/20

東京選挙区の定数7(改選6,補欠1),候補者数32

東京選挙区八王子開票区

八王子市の有権者数471,173

投票率59.48(前回投票率56.55)

有効投票274,275

無効投票6,000

投票総数280,277

先月の都議選より7,300人ほど有権者が増えている八王子開票区。今回の国政選挙で投票した有権者は都議選より52,830人多かった。

当 35,527 川村ゆうだい(公明)

当 30,662 鈴木大地(自民)

当 27,776 さや(参政)

当 23,817 奥村よしひろ(国民)

当 22,736 塩村あやか(立民)

当 21,273 吉良よし子(共産)

当 17,624 牛田まゆ(国民)

15,413 おくむらまさよし(立民)

14,889 たけみ敬三(自民)

12,190 おときた駿(維新)

10,994 山本ジョージ(れいわ)

8,504 小坂英二(保守)

7,791 平野雨龍(無所属)

5,566 みねしま侑也(みらい)

4,954 吉田あや(再生)

4,074 山尾しおり(無所属)

2,999 西みゆか(社民)

・・・

結果データ

自民と公明

 上位7名の顔ぶれは東京都全体の結果と変わらないものの、八王子市での得票数トップは公明の新人川村さんとなっている。都議選の公明党候補は37,057票集めていたので、1,530票が他の候補に流れたようだ。自民党は萩生田さんが三多摩地区の選対本部長を務めた鈴木大地候補が川村さんに次ぐ2位。前回都議選の自民党は2候補合わせて43,755票集めていたが、今回鈴木+たけみが45,551票なので、自民党全体としては都議選より1,796票プラスとなっている。そこから仮に公明党候補から流れた1530票を引くと266票。今回八王子市全体で5万人以上投票者数が増加しているのに対して、組織票が多いと言われる公明党自民党は差し引きでは300弱しか票数を伸ばしていないことになる。両党の伸び代がもうほぼないというのが想像よりはっきり数字に現れていたのはちょっと驚きだった。

共産

 同じく組織票が固いと言われる共産党の吉良さんは都議選の共産党候補より1250票増。私は都議選では個人政党の滝田さんに入れたが、今回は参政党の女性に対する発言に強い危機感を抱いて、早い段階でちゃんと戦ってくれそうな吉良さん一択に決めていた。同じように考えた(かも知れない)人は八王子市内に千人ちょっとか・・・という物足りなさはある。

地域政党の票と参政

 前回の都議選でそれぞれ28,782票と28,610票を集めた新時代の滝田さんと都ファの両角さんの合計57,392票は今回どこに流れたのか。東京都全体では2位だった参政のさや候補だが、八王子市では前回都議選で参政候党補が得た票から7,469票の増加で3位に留まっている。都議選で新時代と都ファという地域政党を支持した人のうちの大部分は参政以外の候補に投票した可能性が高そうだ。都議選には出ていなかった政党の候補でまとまった票を得ている維新から社民の票まで合計するとそれだけで約5万7千票。そして都議選に候補を立てた党では国民が合計で36,004票、立民が合計で13,843票増加している。滝田さん、両角さんの5万7千超の支持者は与党以外の候補者にまんべんなく(?)ばらけた感じだろうか。参政党は都議選からの増加分の順位で言うとれいわや保守よりも下、みらいや再生よりは上といったところだ。MLM仕込みの極右ポピュリズムで話題を独占したとはいえ、八王子の有権者で新たに参政党の候補を支持した人は割合からいうとそこまでではなかったように思える。

無所属

 八王子でも7千票以上を獲得した無所属の平野雨龍さんというのは何者?という感じだったが、過去のSNS投稿で自民党員として総裁選で高市早苗さんに投票していたことが発掘されて一部で話題になっていた。今の自民党には石破総理を認められずに高市総裁を夢見ている派も根強い。平野さんの出馬には、仮に高市さんを担ぐ極右派が自民から分裂した場合どのくらい票が取れるのかという試金石的な意味合いもあったのだろうかと感じた。萩生田さんは高市支持の急先鋒だろうが、もし高市さんについていくことになったら自民党八王子支部はどうなるんだろうか。

 国民からの公認取り消し騒動があった山尾しおりさんも東京選挙区から無所属で出馬していたが、「中道政治を諦められない」として第一に掲げたのが女性天皇の実現だったことには面食らった。確かにこの国の形を問い直すという点で芯は食っていたのかも知れない。虐待育ちだという平野さんにしろ、「私をみなさんのお母さんにしてください!」と叫ぶ参政党候補とそれに入れる有権者にしろ、父権制の焼け野原でどう生きるかというのが私たちの真のテーマなのかも。

比例区八王子開票区

有効投票274,438

無効投票5,794

総投票数280,238

選挙区には投票したが比例は棄権した人が39人いたようだ。選挙区で6,000票あった無効票は206票減なので、何らかの形で政党か個人への支持を表明した人はそれでも比例区の方が多かったことになる。

自民 49,687 (獲得議席数12)

立民 37,302 (7)

国民 35,982 (7)

公明 32,237 (4)

参政 32,082 (7)

共産 17,808 (2)

れいわ 16,239 (3)

保守 13,715 (2)

維新 12,929 (4)

みらい 9,148(1)

社民 6,473(1)

再生 4,199

・・・

 比例区では選挙区より票を取りこぼしている党も多い中、自民党は4,136票、参政党は4,306票のプラス。選挙区の候補にはピンと来なかったが潜在的には支持する層がまだそれぞれこれだけいるようだ。特に参政党は都議選の得票数と比べると11,775票の増となる。逆に国民民主の票が選挙区の合計より5,459票も少ないのは意外だった。選挙区と比例の差が847票しかない立民と比べると際立っている。地元関係者のゴタゴタに起因しているのか、トラブル続きの執行部への拒否感か。選挙区は国民、比例は自民という選択をした人も結構いたのかな。それともチームみらいに入れたのかな。再生は都議選の個人候補より選挙区でも比例区でも4千前後票を減らした。

当 4,948  北村晴男(保守)

当 3,308  れんほう(立民)

当 2,560 山田太郎(自民)

1,665 濱田聡(N党)

当 1,562 安野たかひろ(みらい)

1,125 もりやたかし(立民)

当 1,098 ラサール石井(社民)

・・・

結果データ

  候補者名では北村弁護士の名を書いた人が全国でも八王子でも一番多かった。表現の自由戦士山田太郎さんの名前を書かれた方も八王子に2,560名いらっしゃったんですね。市民の足である西東京バス出身の森屋隆さんは全国で74,495票、八王子で1,125票の支持があったものの再選ならずだった。私はこれからも国会でしっかり仕事をしてもらいたい蓮舫さんの名前を書きました。

 

 7月22日の朝日新聞出口調査(有効回答7,840人)を元にした記事によれば、東京選挙区での参政党さや候補の支持者の内訳は全年齢で男性の方が高かったそうだが↓

参政党のさや氏躍進の背景 出口調査が示す高い男性支持 東京選挙区 [東京都] [参院選(参議院選挙)2025]:朝日新聞

参政党支持層はどのあたりなのかという比例区を対象とした田中辰雄さんの分析(有効回答2,041人)によれば、比例区で男女間の有意な差はなかったらしい。↓

"自民党から岩盤保守層が抜け出して参政党を支持し、これまで投票しなかった無関心層の中の保守的な人も参政党を支持した。"ということだそうだ。

note.com

 

現在首相官邸前ではリベラル系野党支持層を中心とする #石破やめるな デモが起こるという異例の事態になっている↓

news.yahoo.co.jp

フィギュアスケート界の新年になったので/ドリームオンアイス2025とアイスアドレセンス

Dreams on Ice 2025フィギュアスケート日本代表エキシビション,2025/6/27-29,G+,30日放送

 

 昨年の世界選手権で樋口若葉さんの演技に打ち抜かれた。2001年1月生まれの彼女は現在24歳。共に北京で戦った盟友坂本花織は先日今シーズン限りの現役引退を表明している。そして樋口さんも27日のドリームオンアイス初日に今季での引退を予告した。覚悟はしていたけど若葉ファンになるタイミングが遅すぎたとショックを受けている。ドリームオンアイスは「次世代の選手を応援するための試合形式のアイスショー」ということで、新シーズン用のまだ荒削りなプログラムが披露される場だが、若葉ちゃんも坂本さんもびっくりするほど完成された美しい演技を披露していた。二人ともまるで女神のようだった。今からここまで仕上げている覚悟に、録画を見るたびに涙が滲んでしまう。

 

 樋口若葉さんのSPは真っ白い衣装でジェフリー・バトル振付の『My Way』、坂本さんは28日の録画内ではSPの『Time To Say Goodby』を、27日と29日はFSの『愛の讃歌』を『シカゴ』の色違いの衣装で演技したようだ。坂本さんがSPの振り付けを北京オリンピックまでタッグを組んでいたブノワ・リショーに再び依頼したことも話題になっていた。最近のリショーさんの作品にはメッセージを説明し過ぎで、選手をコントロールしようとし過ぎなうるささみたいなものを個人的には感じていたが、坂本さんのための『Time To Say Goodby』は、シンと研ぎ澄まされた、ただただ美しいプログラムに仕上がっていた。

 

WAKABA!!!

sports.yahoo.co.jp

 

「ブノワ先生のことがやっぱり好き」って飛び込んでいけるカオリ、強い↓

www.nikkansports.com

 

 日本女子の次世代のエースは言わずもがなの島田麻央さんで、「23-25年 世界ジュニア3連覇 島田麻央(16)」という堂々の肩書きのテロップと共に、更なる表現力を手に入れるべく今年のSPはジャジーな曲調に挑戦している。「今シーズンがジュニアラストシーズンになると思うので」「来シーズン思い切ってシニアに行けるように」と放送内のインタビューで抱負を語っている。これは厳密には正確ではないようで、ドリームオンアイスが開催されたのは新シーズン直前の6月末だったので、彼女が語る「今シーズン」というのは7月からの「来シーズン」で、シニアに移行する「来シーズン」は「来来シーズン」であるはずだ。でもこれは来シーズンの活躍を夢見る「ドリーム」オンアイスなのだから、来シーズンの夢の中で来来シーズンのことを来シーズンと呼ぶのは自然なことだとも言える。フィギュアスケート界の時間のカウントはややこしい。

 

worldfigureskating-web.jp

 

 来年はミラノ・コルティナオリンピックの年だが、7月1日から2025-2026シーズンに切り替わったフィギュアスケート界では2月のオリンピックはもう「今年」と言われている。坂本さんと樋口さんは今シーズンがラストシーズンであると表明しているが、彼女たちの試合が見られる機会はあとどれだけあるのだろう。言い換えれば「オリンピックシーズン」で引退予定の選手にとっての「オリンピックシーズン」はいつまでなのだろう。これからローカル大会やアイスショーにいくつか出場するとして、10月からはグランプリシリーズが始まり、12月中旬にグランプリファイナル(名古屋)、12月末に全日本選手権(代々木)が行われる。ここまではシーズンの予定としてほぼ確定だろう。そこで1月の四大陸選手権(北京)代表、2月のオリンピック(ミラノ)代表、3月の世界選手権(プラハ)代表が選ばれる。オリンピック代表に選ばれた選手はオリンピックをシーズン最後の試合とすることが多い。あまりにも不本意な成績だった場合には世界選手権でリベンジを果たすケースもあるが、シーズンで引退を表明している場合にはオリンピックが最後になるだろう。しかしシーズンの線引きを厳密に6月末までだと考えれば、来シーズンを見据えた小さめな大会に選手として出場する可能性は残されている。そして現役選手による試合形式のエキシビションであるドリームオンアイスに出場する可能性もある!?・・・はずはないのだが、シーズンの線引きをどこに持ってくるかによっては、終わらない夢が完成してしまいそうだ。

 

 ところで、『ICE ADOLESCENCE』という幻のフィギュアスケートの映画があって、その1分弱のティザー映像にずっと悩んでいる。

全てが初体験 there's a first for everything

17歳で迎える Age 17 entering

「オリンピック」シーズン an Olympic season

このティザーには、上記のような文が表示されている。「17歳」「オリンピック」から連想するのは、出場年齢の下限問題だ。2022年のルール改正でオリンピックに参加できるシニアカテゴリの年齢制限は2023-2024年シーズンに15歳から16歳に、2024-2025シーズンに16歳から17歳へと段階的に引き上げられた。ティザーが公開された2018年には下限が変更されることは決まってはいなかったが、議論はされていたかも知れない。この改正によって次世代エースの島田麻央さんは、ミラノオリンピックに出場するには4ヶ月ほど年齢が足りないことになった。

 わざわざ「オリンピック」だけにカッコがついている「オリンピック」シーズンという書き方にも引っかかるものがある。この書き方では17歳で迎えるのが7/1からの「オリンピックシーズン」なのか、年が明けてからの「オリンピック」本番なのかの判別がつかない。ただ、暗に出場年齢のボーダーのことが言われているのだとしたら、オリンピック出場の下限が17歳からとなるまさに今シーズンこそが

全てが初体験 17歳で迎える 「オリンピック」シーズン

に該当するのでは!?とも思えてくる。そして「オリンピック」だけのカッコには、「オリンピック」シーズンだけれど「オリンピック」自体ではない”という含みがある気もする。今年が『ICE ADOLESCENCE』の年だったりしないかな〜、ということを新年に夢見てみる。

 

www.gtasu.com

 

yurionice-movie.com

 

ドリームオンアイスの沿革を語る真壁代表↓

www.cicinc.co.jp

ロイヤル・オペラ in シネマ『トゥーランドット』(2025)


Royal Ballet&Opera,Giacomo Puccini”Turandot”

フランコ・アルファーノ補筆版,アンドレイ・セルバン演出,1984年初演の再演

トゥーランドット/ソンドラ・ラドヴァノフスキー

カラフ/ソクジョン・ペク

リュー/ジェマ・サマーフィールド

指揮/ラファエル・パヤーレ

 

 ロイヤルオペラ版トゥーランドットの劇場公開があることに気づいて、最終日に駆け込み鑑賞してきた。プッチーニがどうしても完成出来なかった謎と矛盾の物語。「究極の愛と犠牲」みたいなキャッチコピーがつけられている。劇場版は休憩の間に関係者インタビューがあるのが良かった。『トゥーランドット』がプッチーニの華麗な音楽をもってしても何かおかしい話であることは演者も観客も承知していて、その矛盾をどうするか上演の度にみんなでずっと考え続けている、みたいな面白さがある。今回トゥーランドット役のソンドラ・ラドヴァノフスキーは「トゥーランドット姫には心のどこかで愛されたがっている部分がある」という理解で演じたそうだ。血の通ったたおやかで素晴らしいトゥーランドット姫だったけれど、それはそれとして話の成り行きにはやはり首を捻る部分がたくさんあった。第三幕の展開には本物の寒気を感じた。ベネズエラ出身の指揮者ラファエル・パヤーレの若々しい才能が救いになっていたかなと思う。

 

第一幕 架空の時代の北京にて、国を追われた盲目の王ティムールと奴隷女のリューが王子カラフと再会する。広場ではトゥーランドット姫への求婚に失敗したペルシアの王子が処刑されようとしている。若く美しい王子の恩赦を民衆は求めるが、トゥーランドットは容赦無く首を刎ねさせる。その様子を目にしたカラフは彼女に心を奪われて求婚者となることを決める。

・・・ティムールの世話をしてくれるリューは何者で、なぜそんなに尽くしてくれるのかとカラフは訪ねる。自分は奴隷であり「その昔王宮であなたが微笑んでくれたから」だと彼女は答える。カラフはそんな健気なリューの思いに応えるのかと思いきや、急転直下、自分はトゥーランドットに求婚する!と言い出す。めちゃめちゃ怖いトゥーランドット姫になぜカラフが恋をしてしまうのかは謎だが、今回の演出では王子の首を刎ねる時のトゥーランドットの流し目にやられてしまったように見えた。ティムールとリューは一緒にこんな怖い国は出て行こうと必死にひき止めるのだが、カラフは思いっきり挑戦を伝える銅鑼を打ち鳴らしてしまう。これから命をかけて謎解きに挑もうとする彼だが、賢くはない、むしろ愚かな男である。

 

第二幕 謎かけの場にてトゥーランドット姫は自分がなぜ結婚したくないのかを高らかに歌い上げる。それはかつて祖先の清らかなロ・ウ・リン姫がダッタン族の王から受けた仕打ちの所為であるという。冷たく「3つの謎と一つの死」を言い渡す彼女に「3つの謎と一つの命だ」とカラフは言い返す。群衆を味方につけたカラフは3つの謎の答えを次々と言い当てる。しかしトゥーランドットの絶望を前に「夜明けまでに私の名を明かすことができたら自分は処刑されよう」と猶予を告げる。

・・・幕開けに三人の大臣ピン・パン・ポンが姫がさっさと結婚してくれたらいいのに、というのを露骨にいやらしい調子で語り合う。ああいう視線を向けられていたら、トゥーランドットがかえって「結婚は絶対に嫌!」と拒絶するのも頷ける気がする。まるで全国民からセクハラを受け続けているようなものだ。初手から「結婚したくない理由」を包み隠さず表明しているのも面白い。そこは秘されてはいないのだ。3つの謎を解かれてしまった後も必死に結婚から逃れようとする彼女に、カラフは自分からも一つの謎を与える。この場面で「誰も寝てはならぬ」の旋律が流れるのは初めて意識した。

 

第三幕 夜の闇に紛れたカラフがトゥーランドットを想って『誰も寝てはならぬ』を歌う。大臣たちが美女や財宝で誘惑してどうにかカラフを国から追い出そうとするが彼は拒む。そこにリューとティムールが捕えられてきて、トゥーランドットの前で王子の名を白状するようにと拷問される。ティムールを庇うリューは彼の名を知るのは自分だけだと宣言して自害してしまう。ティムールから糾弾された群衆はリューの亡骸と共に去って行き、暗闇にはカラフとトゥーランドットだけが取り残される。カラフはトゥーランドットに無理矢理口付けをし、涙を流す彼女に自分の名を教える。夜が明け、皇帝から王子の名を問われたトゥーランドットは「彼の名は愛(Amor)です」と答える。抱き合う二人の前をティムールが先導するリューの葬列が横切っていく。

・・・第三幕の前に「さあ皆さん、いよいよ『ネッセ・ドルマ』です」とナビゲーターが最大の聴きどころを教えてくれる。ソクジョン・ペクのカラフは凛々しすぎず小賢しさを感じさせず、ただただ等身大の男という感じ。勝利の歌である『誰も寝てはならぬ』も、無理に勝ち誇ったようには響かせない、厚みを生かした歌声だった。だからこそリューの死後にトゥーランドットを無理矢理押し倒す展開には違和感も大きい。プッチーニはその部分のデュエットを完成できないままに亡くなったそうで、補作者としてはとってつけたようになるのはしょうがないのかもしれない。リューの死をもって悲痛に終わるバージョンも観たことがあるが、今回は敢えての補筆版である。リューの亡骸はユニコーンのようにも見えるゴンドラに乗せられて、抱き合う二人の前をゆっくり横切っていく。ソンドラ・ラドヴァノフスキーもリュー≒トゥーランドットなのではないかということを語っていたが、それにしてもリューの愛もトゥーランドットの愛もこれでいいのだろうかという思いは払拭できないまま物語は幕を閉じる。一角獣に託されたリューの亡骸は、ロイヤル・オペラの舞台上に課題を残したまま、また新たな物語世界へと転生していくかのようだ。

 

 今回劇場のスクリーンで3つの謎に対するトゥーランドットとカラフのやり取りをじっくり観られたのはいい体験だった。トゥーランドットの謎はシナリオだけを読んでいても何を言っているのかちっとも理解できないのだが、実際の演者の表情を観ていると、カラフが北京の民衆の代弁者であるのだということがなんとなく伝わってきた。トゥーランドットが今まで求婚者たちを刎ねつけてきた謎というのは、知識や教養で解けるものではなく、民意の中にあるものだったのだろう。そしてトゥーランドットを追い詰めるのは、民衆から彼女への拒絶だということが分かる。美しいペルシャの王子の首を刎ねた時点で、彼女は北京の民の支持を失っていた。行き場をなくした彼女はカラフに押し倒されるしかなくなるが、それはカラフにとっても真の勝利と言えたのか。これは未だ未完成で歪な民主主義の話のようでもある。

 リューの犠牲をトゥーランドットの愛に変換出来ないまま、咽頭癌でプッチーニは逝ってしまった。少女の献身愛が大好物だった作風のせいで、上演の度に、時には彼自身の女性関係まで含めた経緯までセットで解説されることになってしまったのはリューとトゥーランドット姫からの最高の意趣返しのようでもある。北京の広場は海の底のように翳っていて、不思議な異国の祭りに参加したような高揚感も感じた。

 

 

tohotowa.co.jp

 

「あんたこれからどうすんの?」

 

「まずお互い信頼していく関係から作って行こう」

 

「勇利太ったって噂マジだった!」「引退ってマジ?」「ずっと彼女いないって」

 

「ユーラチカ、どこー?」