Dreams on Ice 2025フィギュアスケート日本代表エキシビション,2025/6/27-29,G+,30日放送
昨年の世界選手権で樋口若葉さんの演技に打ち抜かれた。2001年1月生まれの彼女は現在24歳。共に北京で戦った盟友坂本花織は先日今シーズン限りの現役引退を表明している。そして樋口さんも27日のドリームオンアイス初日に今季での引退を予告した。覚悟はしていたけど若葉ファンになるタイミングが遅すぎたとショックを受けている。ドリームオンアイスは「次世代の選手を応援するための試合形式のアイスショー」ということで、新シーズン用のまだ荒削りなプログラムが披露される場だが、若葉ちゃんも坂本さんもびっくりするほど完成された美しい演技を披露していた。二人ともまるで女神のようだった。今からここまで仕上げている覚悟に、録画を見るたびに涙が滲んでしまう。
樋口若葉さんのSPは真っ白い衣装でジェフリー・バトル振付の『My Way』、坂本さんは28日の録画内ではSPの『Time To Say Goodby』を、27日と29日はFSの『愛の讃歌』を『シカゴ』の色違いの衣装で演技したようだ。坂本さんがSPの振り付けを北京オリンピックまでタッグを組んでいたブノワ・リショーに再び依頼したことも話題になっていた。最近のリショーさんの作品にはメッセージを説明し過ぎで、選手をコントロールしようとし過ぎなうるささみたいなものを個人的には感じていたが、坂本さんのための『Time To Say Goodby』は、シンと研ぎ澄まされた、ただただ美しいプログラムに仕上がっていた。
WAKABA!!!
「ブノワ先生のことがやっぱり好き」って飛び込んでいけるカオリ、強い↓
日本女子の次世代のエースは言わずもがなの島田麻央さんで、「23-25年 世界ジュニア3連覇 島田麻央(16)」という堂々の肩書きのテロップと共に、更なる表現力を手に入れるべく今年のSPはジャジーな曲調に挑戦している。「今シーズンがジュニアラストシーズンになると思うので」「来シーズン思い切ってシニアに行けるように」と放送内のインタビューで抱負を語っている。これは厳密には正確ではないようで、ドリームオンアイスが開催されたのは新シーズン直前の6月末だったので、彼女が語る「今シーズン」というのは7月からの「来シーズン」で、シニアに移行する「来シーズン」は「来来シーズン」であるはずだ。でもこれは来シーズンの活躍を夢見る「ドリーム」オンアイスなのだから、来シーズンの夢の中で来来シーズンのことを来シーズンと呼ぶのは自然なことだとも言える。フィギュアスケート界の時間のカウントはややこしい。
来年はミラノ・コルティナオリンピックの年だが、7月1日から2025-2026シーズンに切り替わったフィギュアスケート界では2月のオリンピックはもう「今年」と言われている。坂本さんと樋口さんは今シーズンがラストシーズンであると表明しているが、彼女たちの試合が見られる機会はあとどれだけあるのだろう。言い換えれば「オリンピックシーズン」で引退予定の選手にとっての「オリンピックシーズン」はいつまでなのだろう。これからローカル大会やアイスショーにいくつか出場するとして、10月からはグランプリシリーズが始まり、12月中旬にグランプリファイナル(名古屋)、12月末に全日本選手権(代々木)が行われる。ここまではシーズンの予定としてほぼ確定だろう。そこで1月の四大陸選手権(北京)代表、2月のオリンピック(ミラノ)代表、3月の世界選手権(プラハ)代表が選ばれる。オリンピック代表に選ばれた選手はオリンピックをシーズン最後の試合とすることが多い。あまりにも不本意な成績だった場合には世界選手権でリベンジを果たすケースもあるが、シーズンで引退を表明している場合にはオリンピックが最後になるだろう。しかしシーズンの線引きを厳密に6月末までだと考えれば、来シーズンを見据えた小さめな大会に選手として出場する可能性は残されている。そして現役選手による試合形式のエキシビションであるドリームオンアイスに出場する可能性もある!?・・・はずはないのだが、シーズンの線引きをどこに持ってくるかによっては、終わらない夢が完成してしまいそうだ。
ところで、『ICE ADOLESCENCE』という幻のフィギュアスケートの映画があって、その1分弱のティザー映像にずっと悩んでいる。
全てが初体験 there's a first for everything
17歳で迎える Age 17 entering
「オリンピック」シーズン an Olympic season
このティザーには、上記のような文が表示されている。「17歳」「オリンピック」から連想するのは、出場年齢の下限問題だ。2022年のルール改正でオリンピックに参加できるシニアカテゴリの年齢制限は2023-2024年シーズンに15歳から16歳に、2024-2025シーズンに16歳から17歳へと段階的に引き上げられた。ティザーが公開された2018年には下限が変更されることは決まってはいなかったが、議論はされていたかも知れない。この改正によって次世代エースの島田麻央さんは、ミラノオリンピックに出場するには4ヶ月ほど年齢が足りないことになった。
わざわざ「オリンピック」だけにカッコがついている「オリンピック」シーズンという書き方にも引っかかるものがある。この書き方では17歳で迎えるのが7/1からの「オリンピックシーズン」なのか、年が明けてからの「オリンピック」本番なのかの判別がつかない。ただ、暗に出場年齢のボーダーのことが言われているのだとしたら、オリンピック出場の下限が17歳からとなるまさに今シーズンこそが
全てが初体験 17歳で迎える 「オリンピック」シーズン
に該当するのでは!?とも思えてくる。そして「オリンピック」だけのカッコには、「オリンピック」シーズンだけれど「オリンピック」自体ではない”という含みがある気もする。今年が『ICE ADOLESCENCE』の年だったりしないかな〜、ということを新年に夢見てみる。
ドリームオンアイスの沿革を語る真壁代表↓